ネガティブワードは言ってはいけないのか?

 

本田直之『自由な人生のために20代でやっておくべきこと[キャリア編]』

 

まず、この本は、私が思う「自由」の実現には役立たないものでした。所謂「読んで終わり」になる可能性がかなり高いと思います。

「自由」は実に聞こえの良い言葉です。巷では、日常から解放されたい人が、箸休めのために読む本が数多く出版されています。むしろ、そのような表面的な本が、9割方であるようにも感じます。

 

結論から言うと、「ネガティブワードを言わないようにする」のは、何の効果もありません。

よくある例が、「嫌な事を、嫌だと思わなければ、嫌じゃなくなる」みたいな事です。「嫌だと思わない」だけで本当に現状が変わるのならば良いのですが、必ずと言っていいほど自分の思い通りに前進する事はありません。

嫌な事に対して、頭で考えて嫌だと思わないようにしたところで、嫌な思い自体は消えずに感情として残ります。「三日坊主」という言葉に代表されるように、意識でどうにか出来るのはほんの僅かな瞬間だけであり、長期的解決には向かないのです。

 

そもそも一生安泰なんて無いと数字で知る

誰もが「自分の意志ほど弱いものはない」と感覚的に気づいているはずなのに、もっともらしい精神論を語るだけの本に対して期待しがちです。

本著の後半で紹介されているノウハウも、実現性の低いものばかりなので、とても役に立つとは思えません。ですが、本の前半に書いてある給与に関するデータはよくまとまっているため、いくらか参考になりそうです。

 

例えば、会社が優良企業でいられるのは30年という事実です。

私たちが社会人として働くのは、22歳から65歳までの43年間前後ですから、社会人寿命よりも企業寿命の方が明らかに短いという事が分かります。

終身雇用を前提として1つの企業で働き続ける事は、統計データから見ても無理な話なのです。多くの人が信じている、1つの会社に身を捧げるのが良いという信念は、幻想以外の何物でもありません。

 

また、平均年収は40代後半を境に下降している事が、厚労省の調査から明らかになっています。年収が上がっていくのは40代前半がピークで、それ以降は下る事はあっても上がる事は無いようです。

そして、65歳で退職を迎えた時に見つかる仕事は、大半が時給換算のアルバイトになります。定年までを会社一辺倒で生きてきた人は、平均寿命85歳までの残り20年間、下降の一途を辿る事になるのです。

 

ネガティブを意識している時点で負け

客観的データからも分かるように、一生安泰というのは有り得ない話なのですが、解決方法はなかなか明示されません。本著においても、具体論は幾つか列挙されていますが、即効性の無いものばかりです。

 

「思考停止ワードを禁句にする」として、①「~が悪い」②「~だからできない」③「忙しい」を言わないようにする、というノウハウがあります。

確かに、現状の不平不満ばかりを言うだけでは問題解決出来ないから、という理由は分からなくもないです。

 

しかし、脳の仕組み上、「ネガティブな言葉は言ってはいけない」と思うとますますネガティブな事柄にフォーカスしてしまう性質があります。「言わないようにしよう」と意識すれば意識するほど、むしろ嫌な現実に固執するような生き方になってしまうのです。

 

現状から抜け出すためには、今の環境とは全く別の、理想の状態を詳細にイメージして脳に記憶させるべきなのです。脳が理想を記憶する事により、その理想に向けた行動を取るように自然と働いてくれる、というカラクリがあります。

初めて聞く人にとっては信じられない話かもしれませんが、脳の記憶と無意識を上手く使えるようになれば、「自由」の実現は自動的に出来ます。

 

ネガティブワードは、意識して言わないようにするのではなく、「自然と言わなくなる」ような方法を実践する事で「自由」になれるのです。

 

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