意思決定とは、感情の仕事

とても面白い本に出会ったので、紹介とともに、ちょっとずつ記事を書いていきたいと思います。
ニューヨーク・タイムズのコラムニスト
デイヴィッド・ブルックス(David Brooks)による
『The Social Animal』。
本著はアメリカでベストセラーになったそうです。
邦題は『あなたの人生の科学』(早川書房)で、こちらのページ番号で紹介していきます。
今回は、1章「意思決定-男女の感じ方-」より。
p.54
”意思決定は、理性の仕事ではなく、実は感情の仕事なのだ。”
私たちは、自分の言動を、理性で判断していると思っていることが多いでしょう。
しかし、実際はそうではありません。
理性的な判断をしたと思っている、その根底には、必ず「感情」があるのだそうです。
例えば、あなたがお店で服を選んでいるとします。
素敵な服がパッと目に入ってきて、一瞬で心を奪われ、強く惹かれました。
あなたは「この服が欲しい!」という気持ちでいっぱいになるでしょう。
もうこの時点で、買うことは決まっている、と言っても過言ではありません。
しかし、私たちには、「理性」という後づけの「理由」を必要とします。
~ここからは、「理性」による後づけです~
1.服を、鏡の前で合わせてみる。
「似合う」→2.へ進む
「似合わない」→迷う。
2.試着してみる。
「サイズもいい感じ」→3.へ進む
「微妙」→迷う。
3.値段を見る。
「お手頃」→買う。終了。
「高い」→迷う。
私たちは、このようなプロセスで、服を買うかどうかを決めるはずです。
1.~3.まで順当に進めば悩むことはありません。
”迷う”にぶち当たった場合、私たちは頭を抱えます。
はじめに思った「欲しい」のとおりに、買うことにするのか。
それとも、頭で考えて、買わないことにするのか。
自分の中に、”2人の自分”がいるように感じることもあるでしょう。
しかし、意思決定は「感情」の仕事です。
はじめにもう服を買うことはもう決まっています。
~ここからは、”迷い”が生じた時の、「理性」による後づけです~
1.で「似合わない」と思った場合
→ メイクを変えたり、他の服とのコーディネートで合わせることを考えるでしょう。
2.でサイズが「微妙」と思った場合
→ 痩せることを考えるでしょう。
3.で値段が「高い」と思った場合
→ 節約するか、稼ぐことを考えるでしょう。
これら、理性による「後づけ」は全て、「その服を買う」ためのものになっています。
「理性」は、私たちの意思決定の「後づけ」をするに留まります。
私たちは、何かを決める時、「感情」を無視することは出来ません。
「服を買う」といった日常的なことだけでなく、全てのことに対して、この「感情」が働いています。
仕事や恋愛についても同じことです。
私たちは、「ヤダ」と思うものは排除し、「イイ」と思うものは取り入れて、生きています。
そして、「ヤダ」も「イイ」も、その時々で変わります。
はじめは楽しいと思っていた仕事が、だんだんつまらなくなることも、あるでしょう。
出会った頃は素敵な人だと思っていたのに、近頃はそう感じられないということもまた、あるでしょう。
このような「変化」は、自然なことです。
あなたが、何らかの「変化」を「感じ」たならば、新たな意思決定の時が訪れています。
さらに、私たちは、「ヤダ」なのか「イイ」なのかも、よく分かっていなかったりします。
「ヤダ」と思っていたものが、何らかの些細なきっかけで「イイ」に変わることも、あるでしょう。
「イイ」と思っていたものが、誰かによって「イイ」と思い込まされているだけ、ということもあります。
人の意思決定は、「感情」の仕事です。
答えは、もう見つかっていますよ。